エミリーの求めるもの(文庫) [L.M.モンゴメリ]
■エミリーの求めるもの
(原題:Emily's Quest)
原作:ルーシー・モード・モンゴメリ(Lucy Maud Montgomery)
制作国・発行年/カナダ・1927年
●書籍データ
新潮社 新潮文庫シリーズ(モ-4-15)
1969/4/25 初版発行
(読書サンプルは1989/7/10・31刷)
ISBN4-10-211315-0 C0197
発行者:佐藤亮一 訳:村岡花子 カバー装画:村上芳正
●参照アニメ番組
風の少女エミリー
(2007/4/7~2007/9/29、全26話 NHK教育テレビで毎週土曜7:25~7:50放送)
※3部作(「可愛いエミリー」「エミリーはのぼる」「エミリーの求めるもの」)分をすべて含む。
●主な登場人物
エミリー・バード・スター
エリザベス・マレー
ジミー・マレー
ローラ・マレー
イルゼ・バンリー(前作まではバーンリ)
ペリー・ミラー
テディ・ケント
アンドルー・マレー
アラン・バンリー(イルゼの父・医師)
ミセス・ケント
ディーン・プリースト
カーペンター先生
ルイザおばさん
ジェームス・ウォレス
アイルマー・ヴィンセント
ジョック・ケリー爺さん
ジャック・バニスター
ハロルド・ホンウェイ
ラリー・デックス
マーク・グリーブス
ジャスパー・フロスト
●どんな物語?
ルーシー・モード・モンゴメリ作、「エミリーブックス」の第3巻。ニュームーンに戻ったエミリーは、「文学と表現の学校に進んだイルゼ、「絵の学校」に進んだテディ、法律事務所で働くペリーと別れ、ひとり「我が家」に残り、創作活動に励む日々を送っている。詩や物語を投稿し、採用・不採用に一喜一憂する日々だが、そこそこ原稿料も稼げるようになったことで、「ひとりでいること」を理由に周囲から干渉されることは少なくなった。その意味ではエミリーは「登った」が、まだまだ先は長かった。そんな中、年頃になったエミリーには、いくつもの恋愛話、縁談が持ち上がる。小さい頃からテディを好きだったエミリーだが、大人になるにつれ、感情の行き違いなどもあって、テディとは結ばれないと考えたエミリーは、偶然の事故で長期間、病床に伏したことがきっかけになり、ディーンとの婚約を決める。しかし、エミリーは「テディへの気持ち」を思い出し、テディを諦めもするが、ディーンとも結婚せず「ひとりで生きていく」決意をする。そうこうするうち、モントリオールの学校に進んだテディとイルゼが急接近し、ついに婚約、結婚へと段取りを進める。エミリーは、自己の感情を押し殺し「マレーの誇り」で万事申し分のない振る舞いを見せるが、なんと結婚式当日に「事件」が起き、その結果、エミリーとイルゼ、テディ、ペリーの「将来」が決まる。本作は、前作の「エミリーはのぼる」に続き、エミリーが作家として成長していく過程が描かれている。邦題の「求めるもの」とはすなわち、成長過程で持つ「目標」が揺れ動くさまを指す。一見、「書くことへの情熱」と「恋愛感情」が対立する構図になっているように思われ、「きっとどちらか一方を選択するだろう」という先入観を読者に与えるが、エミリーが求めていたのは、結局(自分でも気付かなかったかもしれないが)、おそらく「両方」だったのだろう。そして、物語はその「頂」を見せないままで終わっている。ちなみに、NHK系列で制作されたアニメ「風の少女エミリー」では、この3作目のストーリーの多くが盛り込まれていない。エミリーが何人もの求婚者をはねつけ、婚約を解消したりする内容が、子供向けのアニメにそぐわないと判断されたのがその理由だろうと思われる。結末は同じなので、途中を「はしょった」という見方もできるが……。なお、新潮文庫版のモンゴメリ作品のほとんどと同様、本作は「村岡花子」氏による訳本であるが、本作の訳が残念ながら女史の遺作となった。原稿入稿後に急逝されたため、「あとがき」も別の筆に託している。
■keyword
作家としての本格的な活動 17~24歳 イルゼとテディはモントリオールへ ペリーは法律事務所へ 知り合いのことを物語に書くな 投稿の日々 掲載・不採用に一喜一憂 先生の死 「自分の帽子がいちばん似合う」 ジェームス・ウォレス恋愛事件 「のっぽのジョン」 「失望の家」 こと座のヴェガ 階段で転倒 ディーンとの婚約 断筆 フラビアン号の事故 14歳から24歳への手紙 ペリーの求婚 チドロー夫人の晩餐会 紛失原稿の代筆と水晶の鉢 指輪を発見 エリザベスの骨折 出版 ジミーの代理投稿 書評 イルゼとテディの婚約 ミセス・ケントの告白 結婚式当日の事件 テディの手紙の「真相」
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